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LADY
*約30分作

 片想いの彼女は俺には振り向いてくれないと思う。みんなそれぞれ好みや考え方が違うから、自分なんかに興味持たないであろう。そう自分で決め付けていた。清楚な彼女が今日、キャンパスを横切っていた。そして自分よりも遥かにいい男と一緒に歩いていた。そんな光景を見掛けてからようやく諦めが付いた。不器用で、お世辞でもいい男でない俺を好む女なんて知れている。その晩、やけくそでバイト先で知り合った尻軽女を誘いカラオケに行った。双方に恋愛感情なんてない。たぶん相手もそうだろうと思っていた。だからその女、玲子(れいこ)を気軽に誘ってみた。
「ねぇー、知ってる~?」
マイクを通した甲高い声が、頭に突き刺すような勢いで俺を圧迫する。
「何?・・・」
俺が答えても、玲子はもったいぶって言おうとしない。
「朝まで遊んでくれたら話してあげる」
女は言うとぼくの肩に手を回しキスをせがんだ。
「ごめん、そんな気になれない・・・」
「ばーか」
そう言って玲子はシュンとしてしまった。そして終いには泣き出してしまった。「泣くことはないだろ?! それに、何が言いたいんだか?」
彼女は背を向けたままボソッと言った。
「佐藤くんのこと好きって言いたかった」
「俺のこと?」
「うん」
これでも俺は一流大学に通う学生なんだ。こんな落ちこぼれの玲子になんてもてたくもない。この時はそう思い、俺は先にカラオケルームを出た。

 バイトの倉庫仕事は、一日勤務とパート勤務とがあった。学生の身分である自分は、週に四回夕方からのパート勤務に入っていた。三日振りにバイトに出た。丁度その時、朝から働く人たちが20畳ほどある休憩室に入ってきた。その中に玲子の姿を見つけることが出来なかった。また煙草でも吸いにいっているのだろう。しばらくしてから、品のある女性が入ってきた。
「嘘だろ・・・玲子?」
心の中で俺は戸惑っていた。それは見違えるような変身振りであった。シュンと伸びたアイラインが大人びていて、ボサボサだった髪型もきちっと決まっている。ブカブカのジーンズも、シャープなパンツに変わり、胸のポケットには煙草ではなくシャープペンシルが差されている。そのセンスはまさに自分好みであった。俺の目線に気付いた玲子は、微笑んでも見えたがキリッとして休憩室の外へ出て行ってしまった。
「あいつ変わったよなぁ?」
年上で社員の奥村がそう俺に言った。
「驚きましたよ」
「玲子、今週から事務に転向にさせたんだ」
「そうなんすか」
そう言われると何となく納得もするのだが、どちらが本来の姿であり、仮の姿なのだろうかと考えてしまった。そしてひと月経つが、俺と玲子は一言も言葉を交わすことなく不思議な関係となった。いつしか玲子は、休憩室にも顔を出さなくなった。前みたくあか抜けた彼女はいなかった。講義のある日には、中程に陣取る片想いの彼女の背中を眺めてはタメ息を付いた。一般教養ではほとんど一緒になることを時には辛いと思った。

 ふた月経つ頃、俺は長い春休みに入り朝からバイトに通う日々が続いた。駅から10分の道のりを急ぎ足で歩いていくと玲子の姿を見つけた。何故だか反射的に気まずいと思うようになっていた。ペースを落として歩くことにした。それは、自分の気持ちの中に彼女への好意が芽生えていたこと以外ほかなかったからだ。その数日後、食堂で彼女とばったり会った。二人は避けることなく窓際の席に並んで座った。煙草もやめ、すっかりレディーとなった玲子は俯く俺の横顔を見ていた。思わず箸を落としてしまった俺を見て彼女は笑ってみせた。
「いけねぇ」
「ダメじゃん!」
彼女の高い声を久々に聞いた。何故かホッとした。たったその一言で、彼女が前と変わっていない本質を俺は感じ取った。そして勇気を出して言った。
「ねぇ、知ってた?」
「何が?」
彼女は目を丸くして訊いた。
「俺が君のこと好きってこと・・・」
すると玲子は‘フ~ン’といった顔をしてからにやけてみせた。
「振るなら振っていいぞ」
「わかった。そうするね」
彼女はそう答えると、何事もなかったかのようにご飯を食べ始めた。
正直、玲子に言われた言葉に打撃を受けた。俺の心の中にある重力が抜け言葉も出ない。そして不安定になった。無言のまま二人は昼食を食べ終えた。
「佐藤君、好きよ!・・・でも今彼氏いるの」
玲子は、俺にウインクしたあとその場を去って行った。女は強いなぁと思う。これ以上ないダメージを受けた俺は、クラスの片想いの子にアタックする決心を付けたのだった。
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テーマ:短編・読みきり小説 - ジャンル:小説・文学

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東京都出身、横浜市在住
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