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春のS.L.S.② 部屋とTシャツと私~ナインティーンガールの片想い | main | 悠なる希望 ~雪が溶けるように~
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春のS.L.S.① ENDLESS LOVE ~Because, I have loved you.
 小日和の二月である。俺は近所のスタンドで灯油を買って、一人暮らしの部屋に戻る。キーを差込み無意識に左に廻す。感触がないから右に廻してみる。あれっ?開かない・・・今度は左に廻す。開いた。ドアを開けると赤いシューズがあった。
「ヨリ、おかえり!」
彼女のミカだった。ヨリとは、ミカが呼ぶ俺のあだ名だった。最近、ミカにスペアキーを渡したのだ。
「あっ、お前だったのか。鍵はちゃんと閉めとけって言ったろ?」
「ごめんなさい」
ミカはシュンとしてしまった。俺が口うるさいのは戸締りのことくらいだろう。田舎とは違い都会では鍵ひとつ命取りとなる。いつしか、ずぼらな俺が完璧主義のミカに合ってしまったのだ。そんなミカにも抜けた所はあるものだ。
「今日は記念日だからケーキ買って来たの」
「25日だね、給料日と同じだ」
「ミカの給料日は5日だよ!?」
そう言ってミカは笑った。重みのない会話だけど、いつまでも変わらぬ仲の良い二人である。
「ピアノの発表会には来てくれる?本当は緊張しちゃうから呼びたくないんだよ!?」
「行くよ」
「本当に??じゃあ、お友達にもあって貰えるね!」
女の子は男を好きになると有頂天になるものだ。俺の場合どうなんだろう?恋人になってから重たいものが芽生えてきた。理由(わけ)はあとで話すことにしたい。とは言え、正直嬉しい。俺は、そんな感情を押さえている。おそらく仕事や私情で辛いことがあっても、決してその場では言わないたちだし、プライベートでもそんなことを話してミカを悲しませたくないし。彼女もまた、こうして同じ心境で逢っているであろう。
実はミカに隠していることがあった。それは、女性も好きだけど、男性の方が好きということ。男らしい俺なのにどうしてだろう?自分でも解らない。だからいずれ、そんなヨリじゃ私は嫌だ!と言って涙を見せて俺の目の前から去ってしまうかも知れない。こんなにも好きになってくれているのに、相手に辛い思いをさせてしまうかも知れない。ミカの愛情が過ぎる程、俺の中では何かを庇うようになっていった。

 ケーキは美味しかった。最近買ってくるケーキ屋さんが彼女のお気に入りらしい。俺は言った。
「話していた映画でも観るか?」
「うん!その前に片付けちゃうから待ってて!」
そう言うと、完璧なミカは食べ終わった皿と、飲み終えたグラスを洗い始めた。窓からの斜光が眩しい二月の日差しは、まるでの様に暖かく、長閑な休日の時のしじまを映し出す。俺は録画したブルーのディスクを取り出し、DVDプレイヤーにセットした。クリーム色のソファーは、二人でホームセンターへ行った時に二人で選んだものだった。ミカが俺の横に座る。彼女はきちんと座って、じっと画面を見つめていた。付き合って三ヶ月が過ぎた。友達の関係から数えると半年である。

 映画を観たあとミカは言った。
「ヨリがこんな私と付き合ってくれて信じられないよ」
アクション映画を観たあとの言葉ではなかった。俺の頭の中では、身のこなしの凄い主人公の余韻でいっぱいであった。
「どうした?急に」
「うん、私自信ないから・・・それに」
「それに?」
「私って魅了ないよね?」
俺はミカと友達になって、食事や映画を観たりと、ちょっとしたデートをするようになった。恋人になってからも手を繋いで歩くなどしていない。好きなのに、触れたいとか思わないのだ。
「ミカはどうして俺と付き合いたいと思ったんだい?」
「ヨリは逞しくて優しくて、いい男だもん。私なんて見た通り太ってるし可愛くなんかない・・・だから」
「十分可愛いよ。俺がいいって言うんだからいいじゃん!」
「ありがとう。可愛くないこと言ってごめん」
この時初めて俺の中で、ミカに触れたいと思った。いやっ、好きだということを態度で示したいと思った。ミカの心の中にあるであろうハーレクイーンのような恋心を受け止めてあげたい。
「ミカ?キスしたことある?」
俺はマジになって話した。横に居た彼女は、驚いたかの様に俺を見た。
「ない」
「そうか」
「・・・」
「実は俺もないんだ」
「冗談でしょ!?」
「だって俺、男の方が好きなんだもん。それでも今まで片想いしかないんだけどな」
言葉を失ったかのようにミカは俯いた。

 しばし沈黙の後、ミカは言った。怒るのかと思ったら、違かった。
「その気持ち私には解らないけど、きっと辛いよね?・・・私なんかといちゃ」
「俺はミカの方が辛いと思う」
それを聞いたミカは、強気な瞳で俺を見た。そして言った。
「抱き締めてくれるだけでもいい。そしたら私はヨリと居たいよ!?・・・もう私はあなたのこと愛してしまったから」
「俺もお前とは離れたくないよ。理由は同じ」
「ね、触れてもいい?」
俺が肯くとミカは自分の手を差し出し、俺もその手に触れてみた。そして手のひらを合わせてみた。ミカの手は柔らかくて温かかった。
「男の人の手って大きいんだね」
ミカは嬉しそうに言うと、俺は言い返した。
「きっとミカが小さすぎるだけだよ」
ミカの手は本当に小さかった。
「こんな俺だけど、これからもヨロシク!」
喧嘩をしたり、わだかまりを解消したあとって、何故だか相手を守りたくなったり広い心になったりするものだ。それは恋愛している証拠だと俺は思う。その時がミカとの恋愛の始まりであり、本物の恋人関係になれたんだと実感した。

-完-

********************************************
実質一時間で書けちゃうショートラブストーリー(S.L.S.)。秋に続いての登場です。今回はという季語を含んだ内容でお届けします。
次回もお楽しみに・・・
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

| 恋愛小説 | 23:39 | コメント:2
コメント
私もたまにこんな事聞いたりしますよ(^^;
『お腹出てるし、可愛くないし(>д<。)』と。
未だ自分に自信がないだけかもしれませんが…。
このお話読んで
『こー言う事言うのって、私だけじゃないのね;;;』
なんて事を想ったのでした☆
まとまりない文章でゴメンなさい(><)
2007.02.07 Wed 10:57 | URL | 卯月 流華。
卯月さんへ
はい、女性心理に迫ってみました。笑
そうかなぁ~。とか勝手に思ってますが・・・
きっと卯月さんの不安は彼に対する愛の深さの表れでしょうね!
コメントありがとう☆
2007.02.07 Wed 14:55 | URL | POPSTAR
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東京都出身、横浜市在住
趣味:写真撮影、音楽制作、作家活動、野球、ドライブ、飲み会(笑)ほか多数・・・
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