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愛ラブYOU

予告☆ | main | 黄昏のロマンスカー
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Your Mind
『見えるものが決して正直だとは思わない。
 見えないものがきっと、人のなんだと思う。。』



 チョコレートを食べていたらラーメンが食いたくなった。自慢じゃないけど広木はラーメン街道と呼ばれる横浜環状2号線の近所に住んでいる。こってり油が多くてそれでいて味が濃い。身体にいい訳がない。たかがラーメン。毎日同じものを作ってりゃ職人なんかじゃねぇ。有名店では偉そうに頭が部下をバカ扱いする様に叱る。なんか嫌な世界だ。これが広木の思うことだった。けどラーメンが好きなんだと思う。身長171cm。最近体重が70kgを超えた。体脂肪率12、3%なんだから平気だろうと油断もしている。先日初めて入ったラーメン屋『壱の屋』は木造りの建屋で、逆に言えば今っぽい雰囲気の店であった。ここを制覇しようと思った。広木の言う制覇とは何度も通って全メニューを食べ尽くすことだった。ほかに趣味と言えばカーキチそんなとこだ。新たな中古に買い換えてから助手席には女の子を乗せていない。最近は趣味が変わり、ギャルから大人の女性が好きになった。そしてスポーティ車からセダンに変えた。既におっさんの年齢なのだ。
そんな今日、たまたま遊びに来た同僚である先輩と『壱の屋』へ出向くことにした。
「広木、実は俺もラーメン好きなんだよ」
「そうでしたか」
静かな店内、途切れ途切れのまったりとした会話が続く。殿の様な制服を着た店員により、麺がお湯切りされタレを敷いた大きな器に盛られていく。そして手早にダシが注がれ海苔と焼豚といった具材が乗せられる。カウンター席からはよく見える。同時にそれが出されると、先輩は「旨そうだな」と言い箸を付けた。広木も少しのニンニクと豆板醤を足し、レンゲでスープを一口飲んでみた。旨かった。食べ終わった後、先輩はひとこと言った。
「このラーメン、俺の妹に食べさせてあげたいなぁ」
「今度は妹さんと来たらいいですよ」
広木はニコリとして言った。そんなに旨かったとは誘ってよかったと思う。しかし先輩が言う。
「うちの妹、広木と同じ歳になるかな!?」
「そうなんですか?」
「目が見えなくて・・・俺は車ないし気軽には連れて来れないなぁ」
「はぁ・・・」
「広木にお願いがあるんだ・・・」
「俺に迎えに来いと?いやっ、構わないですよ」

 そして広木は次の日曜日、先輩の家を訪れることになった。先輩の妹という佐知子さんは礼儀正しい人で、とても綺麗な女性だった。自分は相手を見れたとしても自分のことは見えないのだろう。もし彼女が目の見える人だったら?たぶんこんなヤボ男には目もくれないのだろう・・・広木は思った。
「じゃあお願いしますよ!」
先輩は玄関の内側から、丁寧な口調でそう広木に言うとドアを閉めてしまった。困ったなぁ・・・広木は戸惑う彼女に言った。
「お兄さん居なくていいの?」
「いいの」
「そう。じゃぁさ、行こうか?」
「はい」
と言ったとこでどうにもならなかった。広木は黙って彼女の手を握ると車まで一緒に歩き出した。20キロばかり距離があるからちょっとしたドライブになった。
「佐知子さんでしたっけ?お腹空きました?」
「はい。ラーメン食べたいです」
何て冷静で礼儀正しいのだろう。見た目は好きにせよ広木にはちょっと話にくいタイプだ。そんな空気を読んだのか、彼女は広木の方を見ていた。少しでも見えているのだろうか?前の信号が赤に変わると広木はブレーキを優しく踏んだ。
「広木さんて優しそう・・・」
「えっ?」
広木は自分が優しいだなんて思ってもいなかった。彼女は言う。
「だって車の運転が優しいんだもん」
「あっやっぱさ、佐知子さん乗せてるからだよ」
広木は照れていた。前を向いてる彼女は笑っていた。ラーメン屋に着いた。広木はゆっくりと彼女の手を引き、席に座らせた。
「醤油と味噌、どっちにする?」
「オススメの方で・・」
「じゃあここは醤油で!」
しかし食べ始めると、彼女はあまりいい顔していなかった。本当はラーメンなんか好きじゃなかったんだ。
「あっ、ゆっくり食べていいから。あとさ、量あるから残してもいいよ」
「ううん、食べれるから平気!」
「そうか」
なんだか二人ずっと付き合っている様な感じが広木にはした。彼女を車に乗せ、その足で目先のコンビニへと走った。
「佐知子さん、これ食べて!」
広木はモナカアイスを半分に折ると、片方を彼女に差し出した。
「美味しい!」
「よかった」
広木は楽しくなってきた。
「これから何て呼ぼうかなぁ?」
「呼びやすければ何でも!」
「ねぇ、さっちゃん?」
「何?」
「これから海へ連れてってあげるよ」
「海?」
「イヤ?」
「海かぁ~10年くらい行ってないからしら」
「じゃあ決まりだな!」

 広木は近くを通る通称‘横横’を南へと下った。終点の佐原インターチェンジで降りると三崎方面へ向かった。車を走らせて1時間。潮の香りのする海岸線に出た。橋を渡り、城ヶ島の海岸へと降りていった。すっかり仲良くなった二人はまるで人の様だった。広木は佐知子の後ろから両手を取るとその手を横に伸ばしてみた。
「夢みたい」
彼女は言う。広木は、たぶん佐知子が知らないであろう「これタイタニックだ」とも言えず含み笑いをしてしまった。
「何が可笑しいの?」
「楽しいからさ」
「私も楽しい!」
「元気出たみたいだね!」
すると彼女はしゃがみこんで、指で砂浜をなぞった。まるで大人から童に帰った様だ。
“愛ラブYOU”
「いろんな字知ってんだね!?」
「中学まで目が見えたから・・・」
「そうなんだ。じゃぁ、自分が美人だって知ってるんだね?」
「今の私は知らないの。そうなんだぁ?よかった」
も姿もね!目が不自由になったのに元気なんだね・・・」
「ねぇ?広木さんてどんな感じなんだろうね!」
「俺は・・俺は自信ないよ」
「声が優しいもん!私、広木さんのすべてを好きになりたいな。こんな私じゃ駄目?」
「駄目だなんて・・・俺もさっちゃんのこと気に入ってるし」
「あっ、兄貴の言う通りの人だった!信頼していい?」
「もちろん!」

 しかし現実とは信じられないこともある。それは交際半年後、広木は佐知子を両親に紹介した。帰り際、車に彼女を乗せたあと親父にこう言われた。
「付き合うのはともかく、結婚は反対だからな」
「どうしてだ?」
「お前には面倒なんか見れる訳ない。母さんも身体が弱いことだし、わかったか!」
その親父の一言は広木のに深く突き刺さった。それでも広木は佐知子を愛し続けた。
ある日彼女が言った。
「結婚てどういうものだろうね?」
「さぁ・・・」
思わず広木は言葉を濁らせた。
「私には無理な話だもんね!」
「佐知子、そろそろ送っていくよ」
「広木くん、やっぱ私じゃダメなのね・・・わかった。別れよう!私は全然平気だから」
「短気なこと言うなよ」
「だって・・・」
彼女の目から大粒の涙が溢れ出した。
「ごめんね、短気になってしまって。わかるわ、結婚反対されてるの」
広木にも涙が流れていた。それを察した佐知子は広木の顔に両手を充て自分の唇を近付けていた。
「俺たちもう大人なんだ。俺はもうおまえしか見えないから・・・」
「ありがと。ありがとう広木くん・・・あなたの言葉信じたい」

 次のデートをドタキャンされた広木は、ポストに一通の手紙を発見した。佐知子からだった。特殊なワープロで打たれた文字はたった一言だけだった。その一事で広木は闇の中に突き落とされた。
[以前お話した盲学校の先生と付き合うことになりました。今までありがとうございました]
その先生は拒んでいたらしいが、彼女が再度告白したのだろうか?女性ってそういうものなのか?に穴が開いた広木は、終いにはバカらしくなり想いを捨てた。
気付けば広木は、優しいだけの男になってしまった。見えないから何でもしてあげ許してもあげた。そんな広木が彼女の理想ではなかったのかも知れない。思えば食えないラーメンを食べていた様な必死な彼女をそれ以来見ただろうか?彼女はきっとそんな自分で居たかったのかも知れない。それとも俺の為に・・・?数日経って先輩から頭を下げられた。新しい人の事情は訊かなかった。それ以来、広木の追及も消えていく。

Your Mind

素敵なイメージカット描いてくれた黒咲さんに感謝します!最初の二行に意味を持たせるためラストに持ってきました。サンキュ~でした
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

| 恋愛小説 | 09:38 | トラックバック:0コメント:8
コメント
今晩は!
今晩はPOPSTARさんっ!黒咲です!ブログ開設の際はコメント有難うございましたvv
小説読ませて頂いてます!!なんだか凄く暖かいと言うか…読んでて楽しいですvv
更新頑張って下さい!ではでは失礼しました!!ノシ
2006.11.05 Sun 20:52 | URL | 黒咲
黒咲さんへ
どうもありがとう!
自分の知ってる世界も織り交ぜ書いてるので、リアルさが売りかなぁと・・・読みやすいもの目指してます。よろしくっ!
2006.11.06 Mon 21:20 | URL | POPSTAR
こんにちは。
こんにちは!私のブログへのコメ、ありがとうございます!こちらのブログにも遊びにこさせて頂きました。
小説とか音楽活動とか凄いですね!
御話、時間のある時に読ませていただきますね^^

レビューですが、言葉を知らないので、書くうえで自分の感じた事をうまく表現出来なくて;あんなのでもよければまた遊びにいらしてくださいね☆
2006.11.11 Sat 18:23 | URL | MAYUMI
MAYUMIさんへ
やっぱ音楽はいいですよね!

小説の方、是非読んでもらえたらと思います☆
よろしく。
2006.11.11 Sat 20:10 | URL | POPSTAR
見ました!よく撮れてますね
三浦の風景、自分も行ってみたくなりました。

飲み会行く予定だっだけど
仕事の都合もあって、今難しい立場でもあって・・・
行けませんでした。
上の小説、想定されてる地域がわりと近くですね
「広木」というのもどこかで聞いたような??
2006.11.12 Sun 14:52 | URL | マオクロ
マオクロさんへ
飲み会はいつもの感じでした^^;

この設定は架空ですので・・・笑
広木とは○瀬でしょうか?いやいや、違います!

マオクロさん、身体に気をつけてくださいね!

ps。送ったモデル写真は「さおりん」でした。
2006.11.12 Sun 17:37 | URL | POPSTAR
今日わです~ (*´艸`)
なんだか兄さんの書くものって、なんでも鮮明!
ラーメンやさんの様子とか目の見えない感じとか・・・
ほんと、兄さんて世界が広いなぁって思いますよ(人´д`)すごいっ!
そして、兄さんが美形だから、登場してくる女の人はいつも綺麗な人の設定で読んでしまいます!!(笑)
2006.11.13 Mon 09:35 | URL | りこ
りこちゃんへ
美形?そんなことないよ~!笑
それと登場人物に具体的な容姿などないものに関しては読む方に任せてます。

鮮明ってことはりこちゃんと頭の中が似てるんだと思いますよ。いつも意図してるものずばりとっちゃうりこさまは凄いなぁー。コメントありがとう☆

2006.11.13 Mon 10:13 | URL | POPSTAR
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Author:POPSTAR
HN: POPSTAR
東京都出身、横浜市在住
趣味:写真撮影、音楽制作、作家活動、野球、ドライブ、飲み会(笑)ほか多数・・・
『愛ラブYOU』では短編小説を中心にアップしてます。感想などお待ちしてます!!
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