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愛の意味 ~サザンのバラードに包まれて~ | main | 秋のS.L.S.③ シルビアの恋
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秋のS.L.S.④ 満月の夜に
 満月の夜、生物は気持ちが高揚するという説がある。海ガメを例にしても、満月の夜に卵を産み付ける。そして、犯罪件数も満月の夜に多いという統計がある。中国地方のとある村で生まれ育った京子は、夏祭りの帰り道、ボーイフレンドの桜井和彦と歩いていた。この日は満月だった。桜井といえばミスチルだが、その彼によく似た男だった。奥手の京子は、そんな和彦に想いを寄せていた。当初この祭りの施行はないと見ていた。それは数ヶ月前、二人のクラスメイトである史子(ふみこ)が山の入り口にある廃材置き場で変死しているのが見つかったからだ。警察により殺人と断定され、ひと月して犯人が挙がり逮捕に至った。村は犯人がよそ者であった事、史子の四十九日を無事終えたことを見届け、祭りの中止も取り消された。なにしろ狭い地区な故、このような事件は村中に重いダメージを与えた。
「夜にこんな道出歩くなんてないよな!」突然、和彦が言った。そのセリフに京子はドキッとした。昨夜見た夢の中で誰かが言った言葉だったからだ。その夢で私は「幽霊が出そう」という返事をした。そのあと脳天を叩かれるような錯覚がして目を覚ました。金縛りとは少し違ったが頭が重かった。15畳ほどある居間で寝てしまったことに気付いた京子は、慌てて自分の部屋のベッドに駆け込んでいった。母屋の居間には先祖の写真が飾られ、冗談でも心地よい空間とは言えなかったからだ。我にかえり、
「桜井くんと一緒だから怖くないよ!」そう慌てて言ったあと、京子は一息ついた。
「幽霊が出そう」京子から血の気が引いた。その言葉を発したのは男の声だったが、すれ違ったカップルだった。京子は思わず和彦の肩にしがみ付いた。その夜その男性は、車を運転中電柱にぶつかり頭を強く打って亡くなったそうだ。幸いにも彼女の方は助かっている。彼らは隣村から来ていたカップルだった。
 翌朝、京子は子煩悩な父と母に「高校を卒業したら都会へ出たい」と伝えた。それを聞いた父は、「一人娘を出す訳にはいかん」と反対した。

 山間の田舎では、夜の寂しさをTVが癒してくれた。ボーイフレンドから恋人になった和彦は、京子の家から自転車で5~6分のとこに住んでいた。今日も深夜自宅を抜け出し、京子の家の傍まで来るとメールを入れた。OKのサインを返すと窓から部屋の中に通した。ドアの中から部屋を掛けているため家族の誰かが入ってくることもない。もしバレたら酷く怒られることも承知だ。そんなスリルな事をするようになったのにも訳があった。男の事故死があってからというもの、怖くて眠れなくなった京子が和彦にメールをした。そして優しい和彦は深夜に来てくれた。彼に問い詰められた末、肝心なセリフが言えなくてメモ用紙に「幽霊が出そう」と書いたのだった。和彦はそれを声に出してしまったが、朝になっても何も起こらなかった。
 翌放課後、二人は図書室にあるパソコンであることを調べていた。史子の命日の‘月の暦’である。その夜が十五夜だと知ると鳥肌が立った。そして満月の夜、あの道であの言葉を言うと死に至ると結論付けた。それも「夜にこんな道出歩くなんてないよな」という言葉も絡んでのことだ。しかし京子はいいように考えた。きっとあの夜ご先祖様が教えてくれたのかも知れないと。

 ある休日、デートで待ち合わせたこの村の無人駅に、和彦はあるものを持ってきた。それは史子からという一通のラブレターだった。
「これから彼女の供養をしに社まで行くぞ」そう言う和彦に京子も付き添い、やって来た気動車に乗った。単線のレールの先に見えたのはあの廃材置き場であった。何事もなく、やがて見えて来るトンネルの中へと列車はエンジンを唸(うな)らせながら入って行った。その瞬間の事だった。風が舞い、和彦が持っていた史子の手紙が開いていた窓の外へと飛んでいったのだ。風は強かったとは言え、それは不自然な飛び方をしていった。
「どうしよう・・・」京子は怖がった。
「降りてトンネルを探す訳にはいかないだろう」和彦は冷静にそう言った。
「でも、もし誰かに読まれたら史子ちゃんが報われないよ!」京子は声を大にして言った。和彦はトンネルを抜けるまで何も言わなかった。長いトンネルを抜け、築堤を緩やかにカーブしていくと田園の開けた隣村に出た。列車を降りベンチに腰掛けた和彦は、少し動揺して言った。
「俺、見たんだ。史子が来て俺の手から取っていったのを」
「史子ちゃんが?」京子も隣に座った。
「実は俺、史子と昨年交際してたんだ」
その事実の方に京子は更なる驚きを見せた。
「そうだったの・・・でもまったく分からなかったよ!?」
「史子って小説が好きでね、俺によく貸してくれた。俺は読まないからって断ってたんだけどさ。でも、あいつが読んでいたのは恋愛小説で、読んでみると楽しかったな。それから教えてくれたんだ」
「教えてくれた?」京子は目を丸くして訊いた。
「そう、京子が俺のこと想ってるってことをさ。史子は恋愛小説に恋してるから暫く彼氏いらないの。って勝手に別れたりして」
「ありがと、史ちゃん」京子は呟いた。そして言った。
「実は彼女、私のこと嫌ってたと思ってたの。けど、小学校の時は良き友達だったなぁ」
「それは史子も言ってた。俺が悪いんだ。二人を好きにさせてしまって・・・」
「ねぇ、神社に行ったら別れよう?」京子が笑顔で言った。
「なぜ?」
「史ちゃんも私も半分ずつ桜井くんと付き合えたんだもん!だからいいの」
「な、そんなこと言って別れたらまずいんじゃないかっ」
「あ、私が死んじゃうってこと?」
「なんてこと言えないけど・・・」
「でも私は恋愛小説に恋しないから平気だよ!」
雲の切れ間から煌々とした光が二人を差し、振り向くと恋愛小説を抱えた史子が微笑んでいた。

  -完-

***************************
ということで、①から④まで速攻で書いてみましたがどうでしたでしょう!?そしてこの中で好きな話ありましたでしょうか?
都会的センスのストーリーから段々とメルヘンチックに、最後はホラー調になりましたが(苦笑)ほぼ一日でこんだけ出来ちゃうんだなぁと書きながら楽しくなっちゃいました。最後の話読んで寝付けなかったらぼくにメールください。自転車で駆けつけますから(笑)
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

| 恋愛小説 | 05:53 | トラックバック:0コメント:2
コメント
コメントありがとうございました
自分で小説書けちゃうなんてホントすごいですね。
最近、小説を読んでないからこちらで読ませてもらいますね~
ではでは。
2006.09.27 Wed 21:41 | URL | ai
aiさん、コメントありがとうございます。
半分は自分の理想の世界で、半分は客観的に見た創作で書いてます。
読まれましたら是非是非感想くださいね!!
2006.09.28 Thu 21:37 | URL | POPSTAR
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東京都出身、横浜市在住
趣味:写真撮影、音楽制作、作家活動、野球、ドライブ、飲み会(笑)ほか多数・・・
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